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2007年09月15日

新しい科学の教科書 上・下

左巻健男 ほか編/2004年/文一総合出版/A5

新しい科学の教科書長かった。上下巻合わせて900ページ越え。

この本は中学生の教科書が学習指導要領の改訂で簡単になってしまったため、理科の学力低下を危惧した有志が集まってつくられた教科書である。そのため検定外になった内容も含まれており、学校では教科書として使用することはできない。

現在、最も売れている東京書籍の理科教科書は1分野と2分野で4冊。それぞれがフルカラーで130ページ程度。写真やイラストが多く、文字も多い。見た目は華やかだが言葉があまりにも簡潔なため、読んでいてもそれほど面白さを感じることができない。

文字の多さは教科書の売れ行きを左右するらしく、減らす方向にシフトしているようだ。ただ、表現を膨らませたり、補足を入れたり、横道にそれたりするためにはある程度の文字量が必要である。『新しい科学の教科書』は生徒が疑問に思ったり、理解するうえで躓くであろうと頃を先回りして補足を加えているし、雑学的な内容で科学の面白さを伝えようとしている。その分文章量は多くなっているが、やはりこのくらいないと面白さもにじみ出てこないような気がする。

同書は学習指導要領を越えて子どもに科学の面白さを伝えたいという思いがあふれていて、その気持ちの部分にもやられてしまった。もちろん、東書の教科書が冒頭に中谷宇吉郎をもってきているあたりにだって愛は感じるけれど…。

巻末をみると、共同執筆者の欄に母校の先生の名前があって嬉しかった。次はブルーバックスから出ている新しい高校の教科書(物化生地)を読むことにしよう。

Posted by Syun Osawa at 23:12