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2007年10月31日

放浪の天才数学者 エルデシュ

ポール・ホフマン/訳=平石律子/2000年/草思社/四六

放浪の数学天才者 エルデシュフェルマーの最終定理を証明したアンドリュー・ワイズは7年間、たった一人でひっそり研究を続けていた。なぜなら他の数学者に証明を先んじられることを恐れたからだ。

一方、エルデシュは世界中を旅し、多くの数学者と交流を持った。そして、問題を共有し数多くの共著論文を記した。ひとくちに数学者といってもその横顔は様々である。

共通しているのは、何よりも数学を愛していることだ。エルデシュに至っては、数学を愛しすぎたために恋愛に一切興味を示さず、童貞のまま死んだ。早い話が変人なわけだけど、彼のどこまでも自由な生き方が僕の心をくすぐった。お金に執着せず、数学の賞で獲得した賞金をホームレスに上げてしまうエピソードなどは、安物のヒューマニズムとは別の次元にある。名誉欲や権威欲もなく、ひたすらに数学に対する欲望だけがある。

もちろんその欲望の炎を燃やし続ける燃料として、生まれ持った才能と結果がくっついているのだろうけど、朝から晩までわき目も振らずに愛し続けられる対象があることが何より羨ましかった。

Posted by Syun Osawa at 01:03