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2007年11月03日

第4回 世界映画人会議 2

2007年10月25日/六本木アカデミーヒルズ49「スカイスタジオ」

第4回 世界映画人会議 2サブタイトルは「世界の若手アニメーターの現状 ― カナダ、ドイツ、フランス、そして日本 ―」となっている。そして、裏テーマが「何故、日本の短編アニメ作品はアカデミー短編賞を受賞できないのか?」だったらしい。

ゲストも豪華でマイケル・フクシマ(カナダ国立映画制作庁プロデューサー)、パスカル・ルノートル(フォトリマージュ共同創立者/フランス)、ザシュカ・ウンセルド(スタジオ・ゾイ創設者/ドイツ)、古川タク(アニメーション監督)というラインナップ。かなりマニアックな人選にも関わらずイヤホンによる同時通訳も付いていて、これは国の力を借りなきゃできんわなw ありがとう日本…みたいな素敵なイベントだった。

早い話が、海外には個人(もしくは数人)で制作する質の高いアニメーション作品が数多くあるが、なぜそんなものがつくれるのか? といった話である。作品がつくられる経緯としてプロデューサーの存在があり、制作者の人選が行われ、制作費が捻出され、国からの援助もあり、数年のスパンで作品がつくられる。そうしてつくられた作品の扱いが、たとえ「学校での卒業制作」という意味づけであったとしても、そのクオリティは大変高いものになるのだ。これを日本の美大などのアニメーション学科の卒業制作と同列に扱うのはちょっと違う気がする。

とりわけプロデューサーの存在は重要だと思われる。もう少し正確に言えば制作者の側に立ったプロデューサーの存在。自己満足的につくられる個人制作のアニメを客観的な評価にも耐えられるように修正していけるプロデューサーの存在である。

日本でもプロデューサーの養成が行われているそうだが、アニメーション学を学んだアカデミックな人を育てている印象が強い。詳しいことはわからないが、もし仮そうだとすれば軌道修正が必要だろう。といいうのも今回講演を行った3人のプロデューサーは、プロデューサーであると同時にアニメーション作家でもあるからだ。

つまりプロデューサー不在の一番のネックは、予算的なことよりも、個人レベルでつくられているアニメーションをストーリー的にもビジュアル的にももう一歩上のステージに上げることのできる人が日本には少ないということなのかもしれない。

Posted by Syun Osawa at 01:22