bemod

2007年11月18日

どうして君は友だちがいないのか

橋下徹/2007年/河出書房新社/四六

どうして君は友だちがいないのかテレビタレントとして有名な橋本弁護士の『まっとう勝負!』が読みたくて図書館へ行ったら置いておらず、替わりにこの本が置いてあった。しかもこちらの方が新刊ということで読んでみることに。

この本では、友だち関係は時の流れとともに移ろうし、子どものころに人を好きになったり嫌いになったりすることに大した根拠があるわけでもないとしている。先生は「友達をつくれ」とプレッシャーをかけてくるが、なかなか友達をつくることができない子どもにとっては辛い話だ。

そういう悩みを抱えた14歳の子ども達に向けて書かれた本としては、なかなか実効性のある本であるように思った。公立高校へ行き、不合理なヒエラルキーの中で揉まれながら、好きでない人とも上手く付き合えるようになるための練習すればよい。そうやって養われた力こそがコミュニケーション能力だと、論旨がとても明快だからだ。

また、亀田兄弟に関して、なぜ橋本弁護士が擁護の立場をとり続けてきたのか、この本を読めばわかる。橋本弁護士にとって大事なのは家族である。友だちと家族に対する考え方が古風ということくらいで、ネット上で叩かれているほど悪い印象は受けなかった。むしろ共感できる部分が多かったくらい。

ちなみに、この本は14歳のために書かれた本である。つまり、学生時代の友達同士の軋轢と大人になった後の軋轢を明確に分けている。子どもの時代の好きになったり嫌いになったりには根拠がないが大人のそれには根拠があると書いている。このあたりはそのまま受け取るべきかは皮肉と受け取るべきかは悩むところ。

Posted by Syun Osawa at 22:35