2007年11月25日
AIR(全12話)
監督:石原立也/2005年/日本/アニメ
1年前に壊れたPCのハードディスクを整理していたら、テレビ版『AIR』の感想メモが出てきた。これを見たのはいつだったろう? 覚えてない。ただ、ラストの回で泣いたのは覚えている。泣いた理由は覚えていなかったのだが、メモを見て思い出した。何だかんだ突っ込みいれながら、最後は夢中で見てたんだなw 感想メモはやはり大事だ。
とか書いてて思い出した。友だちに借りて見たのだった。オーディオコメンタリーのスタッフのしゃべりから苦労を重ねてつくられているのが伝わって、作品とは別の感動があったことも思い出した。
京都アニメーションというと京大卒の山本寛さんがよく取り上げられているようだけど、あのスタジオの職人的作風というのは本作で初監督を務めた石原立也さんのような人の堅実さから来ていると思っている。
以下、当時のメモ。原文ママ。
第01話 かぜ 〜breeze〜
モロモロの美少女登場。「にゃは」「がお」の口癖。ヒマだから遊ぼうとみんな誘う。
第02話 まち 〜town〜
田舎に住んでいる気がしない。人付き合いの偏り。精神障害者に冷静なツッコミを入れているみたいに見える。放浪者に「ユキトさんにしか話してないから…」とか何故? アドベンチャーゲームの突発的なイベントが次々起こっているような印象は、原案がゲームだからなんだろうか。
第03話 こえ 〜whisper〜
まだ街を出て行かない。相変わらず街の大人は出てこない。人間関係が突然現れた主人公を中心に放射状に伸びている。カノン? が多重人格者で、神社で国咲の首絞める。「空へ」みたいなことをロマンチックなジョークではなく本気で言っている。
第04話 はね 〜plume〜
カノの首締め、あざの原因が伝奇モノのような複線であることが発覚。いきなり時代劇物になり、行って来いして終わった。不思議な展開。このへんの感じが『ファウスト』の新伝奇ムーブメントみたいな流れに行ったのかなぁ。
第05話 つばさ 〜wing〜
ミナギのお母さんとの関係が明らかに。流産した妹と思いこむことですべてを忘れようとした。ミナギもそれを受け入れたのだが、お母さんが流産したこと記憶を思い出したことで、ミナギは帰る場所をなくしたという。うーん。超傷つきやすいですね。ミスズは完全に精神病者。友達できると泣き出すって…。しかもミスズと母が血をつながっていないことが判明。
第06話 ほし 〜star〜
ミチルは幻影だった? 夢のかけらって何? 怒号のファンタジーに目がくらむ。生まれてこなかったミチルが実際の世界で普通に生きていたなんて。これがAIRの世界か。精神病者に本気の立ち回り。悲し過ぎる。自殺した中学生が遺書に「お母さんありがとう」って書くくらいの悲しさ。やりきれなさを物語の主軸にしてる。後半はカメラワークのための3Dを多用している。
第07話 ゆめ 〜dream〜
悲しくて見ているのがつらい。自分ならば決して選ばないような選択肢をキャラクターが選んでいくのでやりきれない。出て行ったり、戻ってきたり。二人で出て行けばいいのに。つか、彼らはこの物語のスタートを切る瞬間までどんな生活を送ってきたのか謎。しかも横の人のつながりが全然ない。本当は小さなコミュニティの中で救われていかなければいけないはずなのに、それぞれが独房で自問自答しているかのように映る。
第08話 なつ 〜summer〜
いきなり平安時代。翼人といういきなりのファンタジーも難しく、どんどん入っていけないところへ。このトンデモな展開はかなり新鮮。しかもギャグが強いし。ところが突然、悲しいドラマがまっていて、そのまま霊山へ三人で旅していく。この三人は擬似家族らしい。それにしては両親が若すぎる。これは問題だなぁ。
第09話 つき 〜moon〜
平安時代が終わる。翼人のエピソードが現代と繋がるんだろうけど、雰囲気だけで上手く飲み込めない。ゲームやってないからかもしれん。マルチエンディングが生み出した不思議なストーリー展開を東浩紀はゲーム的と読んでいるのかもしれん。うーん。
第10話 ひかり 〜light〜
主人公がカラスになっている。繰り返されるエピソードでお母さんやミスズの裏側が明らかになる。いよいよせつない。いよいよ悲しい。何より悲しいのは友達がいない。友達ができることを許されない人達がたくさんいるという事。この回も絵コンテ・演出は北之原孝将さん。この人の演出好きかも。
第11話 うみ 〜sea〜
ハルコさんがミスズのお母さんになろうと懸命に努力する。主人公はカラスとなりただ眺めるしかない。二人は本当の家族になろうとする。ただし、ミスズも本当の親がいるのね。ここはわりとポイント。だからどうも飲み込めない。
第12話 そら 〜air〜
翼人とのエピソードが絡みが微妙にわからなかったが、とにかく泣きまくってしまった。僕ならば選ばないようなストーリーではあるんだけど、白血病の子供が若くして死んでいくような状況で、ひと夏の体験をするみたいな感じ。しかもそれが、人と接することのできないというありえないような病気にかかっていること、絶対不可能な事態がここまで問題を深刻にしてるわけですね。
何で悲しいって、ミスズが「ゴール」って言って死ぬんだけど、僕はそこはゴールじゃないよと言ってあげたいわけ。でも死んだから言えないんだ。だから悲しいわけ。彼女の生まれたわけを考え、彼女が笑って死んだことを考えるの。だから涙が止まらないんだよ。
Posted by Syun Osawa at 00:13