bemod

2008年01月11日

数学受験術指南

森毅/1981年/中央公論社/新書

数学受験術指南いつもの森毅節で上手くはぐらかされた感じ。僕の場合、そのはぐらかされ方が気持ちよくて、読んでいるのかもしれない。

彼のアナーキーな考え方は好きだ。彼の受験に対するアドバイスを一言でまとめると、きっと以下のようになると思う。

「上手くやれ」

森毅レベルに頭が良くて、要領がよければ、それも可能なんだろうけどね。凡人はそんなに上手く世の中を渡り歩いていくことができない。ダメならダメで受け入れるというのも、なかなか上手くいかない。上手くいかないのが人生だとしても、その前提条件すら飲み込めないからさらに上手くやれないという堂々巡りは悲惨である。

受験はあくまでも技術なのだから、その技術を身につければよい。その心構えのようなことがこの本には書いてある。特にわからない問題をいかにごまかしながら解くかという方法論は読んでいて損はないと思う。もちろん、具体的なことは書かれていない。心構えだけで、後は勝手にせいというのは、いつもの森毅節である。

この本では受験だけでなく、大学の単位認定にも話が及んでいる。興味深いのは、出席の有無を単位認定に考慮しないと明言しているところである。僕も当然だと思うのだが、世間の意識はちょっと異なっているようにも感じる。毎回、授業に出席するという積極的な態度そのものを「がんばり」とか「やる気」とかで評価して、単位を与えるというもので、僕の通っていた学校でもけっこうあった。

頑張ろうが、頑張るまいが、結果はそれとは関係がないのが現実である。その現実と直面したときに人はどう生きるのか、そこが重要だということを森毅の本を読むと毎度感じさせられる。

この本に関しては、アナーキーな生き方の心得みたいなものとは別に、教材づくりのヒントをいくつか貰えたのが一番の収穫だった。

Posted by Syun Osawa at 01:16