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2008年05月30日

和解のために ― 教科書・慰安婦・靖国・独島

朴裕河/訳=佐藤久/2006年/平凡社/四六

和解のために日韓問題を韓国人の視点から書いた本。僕の中で韓国の文化人は、日韓問題を語ると超感情的になって日本を一方的に煽りまくると思っていたから、できるだけ中立にそれぞれの国の主張を読み解いていこうという著者の姿勢には好感が持てた。

特に韓国人の著者が自国の問題について言及しているところはなかなか興味深かった。例えば竹島の問題に関していうと、日本が裁判で決着をつけようとしているのに対して、韓国は「そもそも自分達の領土なんだから裁判をする必要がない」と取り合わない態度を批判している。こういうまともさが韓国の側にも増えていくことを強く望む。

彼女は日本の右翼を批判しているが、日本の右翼の思想が日本の大多数の思想と合致しているわけではない。そのことを理解したうえで日本人はこの本を読んでいる。一方、韓国人はどうだろうか? 「竹島問題について裁判をする必要などない」という韓国のナショナリストたちの声は、どの程度韓国人の意見を反映しているのだろう? 日本の右翼同様にある特定の人々の考え方であることを祈りたい。

あとがきが上野千鶴子さんだったりすることもあってか、著者はフェミニストの印象がちょっぴり強い気がする。そちらは日韓問わず、自分は上手く飲み込めないのでスルーしておこう。

Posted by Syun Osawa at 01:45