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2008年09月25日

アンドレ・ボーシャンとグランマ・モーゼス展

2008年7月5日−8月31日/損保ジャパン東郷青児美術館

アンドレ・ボーシャンとグランマ・モーゼス展アンドレ・ボーシャンはフランスの人で、グランマ・モーゼスはアメリカの人。二人に交流があったというわけでもない。共通点があるとすれば、遅咲きであること(ボーシャンは40代後半、モーゼスは70代後半で画家として注目された)、素朴派としてカテゴライズされていることだけである。

「素朴派」って何だろうなぁ?

僕にはこの言葉があまりしっくりきていない。なぜなら、見た感じが素朴に見えるからっていう以上の理由があるとは思えないし、ようするにアンリ・ルソーとかカミーユ・ボンボワなんかの絵に共通点を見つけて、商売っ気のある人がそのようにカテゴライズしたとしか思えないからだ。

それはさておき…

ボーシャンの絵は透視図法に完全には従っておらず、一つの絵の中で前面、中面、後面に別々の絵画空間があるように見える。これは技法としてはセルアニメの重ねに近いような印象を受ける(アニメの場合は重ね合わせた結果、画面は一つの透視図法の中に集約されていく)。

一方、モーゼスにはそのような多重性はない。

子供が描いたような絵を丁寧に組み合わせながら、結果的に統一感のある平坦な世界を作り出している。彼女は人生のほとんどを刺繍をすることで過ごしており、今回の展覧会では刺繍でつくられた絵画が2点展示されていた。刺繍であるため、絵の要素はつながれ、別々に存在することは許されない。彼女の絵は決して上手だとは思わなかったが、強い結合力を伴った全体性のようなものを感じた。それはきっと彼女の刺繍のキャリアと関係しているのかもしれない。

とりあえず、遅咲きってのがいいと思う。人生は晩年に楽しいほうがハッピーだなと最近ちょっと思うようになってきた。

Posted by Syun Osawa at 01:32