bemod

2008年09月30日

ロウソクの科学

ファラデー/訳:三石巌/1962年/角川書店/文庫

ロウソクの科学この本は1861年のクリスマス休暇に、ファラデーがロンドンの王立研究所で行った6回の講演をまとめたものらしい。およそ150年前に語られている内容なのに、それほど古さを感じない。そして、ファラデーが一般の聴衆の前で水素を燃やしたり、水を電気分解したりする様子がよく伝わってくる。

150年といえばかなり大昔のように感じるが、この本を読むと結構いろいろなことがすでに解明されていることがわかる。本の内容にそれほど古さを感じないのは、ここで語られている内容が、そのまま今の中学校や高校の理科の内容にもなっているからだろう。過去の偉大な科学者たちによって構築された自然科学の世界って本当に凄いですな。

ただ、講演の内容がほとんど聴衆の前での実験に費やされているにもかかわらず、この本では簡単な図版(当時のもの?)しか示されていないため、それらの実験の具体的な内容が少しわかりにくかった。すでに高校の物理や化学を学んだ者にとっては、そこで何が行われているか推測することはできるが、何も知らない子どもがこの本読んでそれらを理解することが可能だろうか? 僕は少し難しいように思う。この本は名著として知られているようだが、そのような観点から見ると、決して名著ではないような気もする。

…と思ったら、山形浩生さんが翻訳した文章を発見。山形浩生訳「 ロウソクの科学 」に図版をつけて、同人誌にでもしようかな。

Posted by Syun Osawa at 00:24