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2009年02月26日

日本の10大新宗教

島田裕巳/2007年/幻冬舎/新書

日本の10大新宗教タイトルにある新宗教ってのは要するに新興宗教のことで、本書では創価学会や立正佼成会、天理教などが取り上げられていた。

新宗教と言ってもいろいろで、戦前から活動しているものもあれば、戦後の復興期に生まれたものもある。また、戦前から活動している中でも、反権力的な活動を展開したとして弾圧を受けたものもあれば、天皇を過剰に神格化し過ぎて弾圧をうけたものもある。

さらに神道系、仏教系、キリスト系、ミックス系など系統も様々で、新宗教の教祖が実は別の新宗教の元信者だったというケースも多いようだ。こういう分派の仕方って、まさに2次創作的で、昨今話題のアーキテクチャの生態系にも似た話に思える。

新宗教はある意味で隙間産業的であり、既存の宗教や世間一般の求心力の弱い集団では心の不安を解消できない人を補完する役割を担っている側面は無視できない。だから、創価学会が都市の孤独な低所得者や労働者の心の安定をもたらしたという意味では大きな意味があったはずだ。

ただし、新宗教には信者の心を引き付ける何かが必要であり、その何か(例えば教祖のカリスマ性など)には寿命がある。終末論の求心力は強いが、終末と指定されたその日に何も起こらなければ、その求心力は一気に失われてしまう。

この本では、真如苑がカウンセリング的であることし、昨今の需要にあっているとして紹介されている。深く気持ちを共有したいが、浅く付き合いたい、またはその逆の気持ち。そういうダブルスタンダードな帰属意識が今は主流になりつつあるのかもしれない。

Posted by Syun Osawa at 01:09