bemod

2009年03月23日

すべての経済はバブルに通じる

小幡績/2008年/光文社/新書

すべての経済はバブルに通じる投資関連の本を最近よく読んでいる。そこでよく登場するのが世界同時株安の話とサブプライムローン問題の話。この本ではそうした経済の危機的状況がバブルの崩壊によってもたらされていることを示しながら、そのバブルのメカニズムについて解説がなされている。

サブプライム問題はNHKのドキュメンタリーを見た程度だったので、この問題がどうしてバブルの崩壊に繋がったのかよくわかっていなかった。どうやら昨今の世界的な株価の乱高下は、サブプライム問題がリスクの高い資産にプロの投資家が殺到してバブルを作り出すというパワーゲームの果てに起きた事態らしい。一般庶民からすれば本当にはた迷惑な話で、それによってガソリンや穀物の値上げなど僕達の生活に確実に影響が出ているのだ。

行き過ぎた資本主義の果てに実体経済が低く扱われ、そのことで僕の生活が疲弊し、その反面で金融資本だけが増殖していくことはどうにも許しがたい。バブルなんて早々に崩壊して、ヘッジファンドなんて全部壊れてしまえ…と庶民の僕は単純に思ってしまうが、真相はもっと複雑なんだろう。実体経済の高低は周期があるらしく、僕はただ黙ってそれを眺めるほかはない。

ところで、この本ではノーベル経済学賞受賞者がつくったファンドが破綻した話の真相が書かれていた。世間に流布したこのネタは、「ノーベル賞受賞者でも経済の動向は掴めない」というものなのだが、真相は少し異なったところにあった。結局のところ、彼らの作ったファンドにお金が集まりすぎたことと、同じ動きをする同業者が多数現れたことで、彼らが投資の核にしていた歪み部分を見つけることが難しくなったことが破綻の原因なのだそうだ。

僕がチマチマと行う投資の指南ネタとしては、この本に書かれていることはあんまり考える必要はないかなと思う。バブル崩壊のときの株価の乱高下の様子などがドキュメンタリータッチに書かれていたが、日々変化するチャートなど僕にとってはどうでもいいし、こういうミクロなことを積み上げて全体を把握するというプロのようなことはできるはずがない。経済関連の本はもう少し身近なものに対象を絞って読むことにしよう。

Posted by Syun Osawa at 00:45