bemod

2009年05月18日

これがホントの「投資信託」入門!

臼田琢美/2008年/ダイヤモンド社/A5

これがホントの「投資信託」入門!タイトルのリード部分に「もうだまされない!1万円で今すぐ始める」とあるけど、だまされない方法が書かれているわけではない。優秀だといわれるアナリストのポートフォリオを後生大事に守りながら分散投資を続けても儲からない。だから、結局は自分で投資を経験しながら好きな方法で投資しなさいというのがこの本の趣旨だ。

ぶっちゃけたらその通りだろう。

これまで読んできた本がやたらと分散投資とポートフォリオ理論を前面に打ち出していて、僕は分散投資の理論にすっかり洗脳されていた。ところが、いざ実際に投資をやってみるとすぐに違和感を感じてしまったのだ。というのも、分散投資がポートフォリオ重視であるため、日本株式が値を上げているとか、海外債券が値を下げているといった状況を無視して投資し続けなければならないからだ。資産が増えているときならばこれでいいが、今のように減ったり増えたりのこう着状態ではかなり苦しい。

こういう状況で資産を増やそうとすれば、ポートフォリオを無視してでも状況に応じて資産の投資先は変更する必要があるように感じるのだ。また投資のタイミングも毎月一回同じ日にするよりも、毎月一回大きく値を下げた日に投資するなどしたほうがいいのではないかとも思えたりする。さらにまた、あるファンドが大きく値を下げ続けているときは、そのファンドをサックリ売ってしまうのも作戦だろう(そうすると複利効果が望めないが…)。

このあたりは完全に素人意見なので、こういう小手先の対処法は大怪我につながる危険性もあるのだろう。ただ、この本では上記のような僕の疑問を上手くすくい上げるような形で投資信託の解説がなされている。悪い言い方をすれば、まさに僕のような素人を吊り上げるために書かれた本なのだ。さらに、著者が所属するカブドットコムは雰囲気がゆるく、2ちゃんねるやニコニコ動画のノリとも近い。こうした「ゆるさ」で中国とかインドとか不動産とか、もっとリターンが望めるところへ投資しなよと書かれたら、2ちゃん世代の僕はどうしても心揺さぶられるものがある。

ところで著者は、投資信託は手数料が高いため、長期投資には向かないのではないかと指摘している。投資信託は長期投資に向くと言う人がいたり、向かないと言う人がいたり。ポートフォリオを重視しろと言う人がいたり、成績のいいファンドに投資しろという人がいたり。ほんとうに投資の本ではいろんなことを言う人がいる。そして、いろいろな本を読んできて確実にわかったことは、結局未来のことは誰にもわからないということだけである。

Posted by Syun Osawa at 01:29