bemod

2009年06月02日

メビウス ∞ 描線がつなぐヨーロッパと日本

2009年5月9日/13:30−16:00/明治大学駿河台校舎アカデミーホール

メビウス ∞ 描線がつなぐヨーロッパと日本『ユーロマンガ vol.1』を無料で配ってたしw

前に書店で買ったちゅーねん! …とまぁ、そんな愚痴も出るくらいの大盤振る舞い&豪華なシンポジウムだった。何しろ出演者がメビウス、浦沢直樹、夏目房之介で、会場にも永井豪、谷口ジロー、荒木飛呂彦など面子が豪華すぎる。

シンポジウムの内容もヤバかった。浦沢さんやメビウスさんがスケッチブックにマジックでイラストを描くパフォーマンスをしてくれたのだ。個人的にはこれがすべてという感じ。絵を描くスピードもめっちゃ早いし、全然狂いがない。やっぱし次元が違うわw

浦沢さんが「丸と線でアタリをつけるための立体人形を描いて、それをもとにキャラクターを描くのは楽しくない。絵はいきなり輪郭から描き始めるほうが楽しい。」と言われてハッとなった。これは完璧にその通りだと思う。普段メモ用紙にボールペンで直描きしていると楽しいのに、いざコマを割って描こうとしたときには立体人形でアタリを描く。丁寧に描かなきゃ…パースが狂ったら駄目だし…などの思いがそうさせるのだ。

するとこれがよくない。メモ用紙に描いていたときのようなカタルシスも得られないし、出来上がった絵もどうもイマイチなのだ。もちろんプロの方々はどんな方法でも上手く描くのだろうけど、素人が趣味で描いているときに楽しくないのはよくない。浦沢さんのあの言葉で僕は立体人形は封印しようと思った。とはいえ、完全に封印してアタリを描かないというのは、さすがに僕の実力では無理だけど…。

ところで、漫画を批評する立場として夏目さんが記号的身体とか漫画記号論めいた話をされていた。で、夏目さんが「へのへのもへじ」なんかを描いて、これでもキャラになるという風に展開されていたんだけど、浦沢さんが描いた後にようあれ描いたなと…ぶっちゃけ思ったり。何か妙に「自分も絵を描く」ということをアピールされていたが、あれ何でだったんだろう?

もしかしたら、メビウスの日本の需要のされ方がストーリーよりも完全に絵のほうなので(あとコマもあるのかな?)、どうしても批評の立場からうんぬんすると弱いからああいう話になったのかな? ようわかりません。漫画記号論めいた話は、以前に大塚英志さんの本で読んだことがある程度だけど、僕はちょっと懐疑的な立場かも。手塚だって後期の絵は記号とは思えないし、実際に手塚の絵にしたってあれを誰でも描けるかっていうと描けない気もするし…。

あと、今回のイベントでは浦沢さんが完全にメビウスのファン代表として振舞われていたのが凄く印象的だった。浦沢さん自身が今の漫画界で5本の指に入る人なのに、偉そうな感じが全然なかったし、何だか僕が中学生のときに読んだ『俺のマンガ道』の記事そのままの人だった。

Posted by Syun Osawa at 00:27