bemod

2009年08月08日

世界は感情で動く

マッテオ・モッテルリーニ/訳:泉典子/2009年/紀伊國屋書店

世界は感情で動くいやー、勉強になったな。

フレーミング効果、大数の法則、小数の法則、アンカリング効果、フォールス・コンセンサス効果、ハロー効果…などなど出てくる言葉は難しいが、ようするに人間は何かを意思決定するときに、感情を優先させていることが多いという話だ。そして、感情を優先させることで、将来に対するリスクとリターンの計算を論理的に行うことができず、判断を誤ってしまう。

この話は凄く納得できる。僕自身は、親から情がないと文句を言われるほど冷めた目でしか物を考えることができない人間なのだが、それでも何かを決断するときは、直感に頼って「えいやっ!」と決めている。

例えば僕の投資の話だと、最初の頃はインデックス投資の本を読み漁り、アセットアロケーションなどという気持ちの悪い言葉を真に受けながら、見本として提示されたポートフォリオに忠実に投資をやろうと思っていた。しかし、実際にお金を投資始めてみると、そんな機械的な投資を行っていくことは難しいことに気づく。

日経平均も為替も毎日目まぐるしく動き、ニュースは様々な経済にまつわる情報をたれ流している。そういう状況の中で、単純なドルコスト平均法を実践していたのでは、儲ける機会を逸してしまう可能性もあるし、逆に高値掴みをして損してしまう可能性もあるということに耐えられなくなる。もちろん平均法なのでリスクもリターンもそこそこだから平均なわけだが、もっと積極的な投資を行いたいという感情が抑えられないのだ。

その理由は二つあって、一つはこの本で示されているような行動原理に基づいている。そして、もう一つ。市場に参加している多くの人が感情で動いているわけだから、そうした投資家たちの感情の動きを読むことこそが、投資において一番重要だと考えるようになったからだ。僕はこちらの理由を重要視しており、だからこそ、行動経済学の入門書を読んだのだ。

感情の話に戻る。

この本の中で興味深かったのは、感情に流されている人のほうが精神状態は安定しており、論理的に考えながら不安定な状況を冷静に分析する人のほうが抑うつ気味だと指摘されていた点である。僕も少し抑うつ気味なので、これも凄く納得できた。

精神の不安定を解消するために、精神の安定を与えてくれるものに安易に飛びついてしまう(例えそれがスピリチュアルなものであっても)ことは、人間が備えている防衛本能の一つなのだ。そのように考えれば、生物としての人間が感情で動くのは当然かもしれないし、その感情の原理に基づいて投資を考えていくほうがより現実的だという僕自身の考え方は、それなりに理に適っているようにも思える。

Posted by Syun Osawa at 00:05