bemod

2009年09月26日

病院坂の首縊りの家

監督:市川崑/1979年/日本

病院坂の首縊りの家冒頭のシーンに出てくる棒読みのおじいさん誰やねん…と思ったら、横溝正史本人かよ。そういえば昔観たときも、子どもながらにズッコケた記憶があるな。忘れてたわw

本作は70年代に市川&石坂のコンビでつくられた金田一映画のラストとなる5作目。これまでの4本とは少し趣が異なり、都会が舞台となっている。一応、廃墟は登場するが、山村が舞台だったこれまでの作品と比べると、薄気味悪さは控えめになっている。不気味な結婚式と首吊り死体はいい感じだったが、オープニングのテロップの入り方も普通になっているし、主要な登場人物が進駐軍相手のジャズバンドを組んでいたりして、ちょっとだけ軽い印象も受けた。

軽く感じたのは、草刈正雄やら桜田淳子の演技によるところも大きいのかもしれない。桜田淳子は二役を演じており、その違和感も最後まで残った(だって、似た人っていうよりそのものだし…)。もしかしたら、僕が好んで観ていた新劇調の芝居とカメラのフレームを意識したナチュラルな芝居の違いが違和感の原因かもしれないが、そういう事をのぞけば、桜田のオーラはなかなかのものだった。途中からはアイドル映画だと思って、アイヲタモード全開で歓喜しまくりながら観ていた。

登場人物同士の関係は相変わらず入り組んでいる。入り組んでいなければ、作品自体が成り立たないくらいに入り組んでいて、それこそが物語の駆動装置になっている。世界観を開陳することそのものが物語になっている昨今のアニメがそうであるように、金田一シリーズの物語の駆動装置は、人間関係そのものなのだ。そして、その方法自体がメソッド化しているのだろう。人間関係の複雑さを序盤の会話劇でやるところは相変わらずだし、ラスト20分前にネタバレした後に解説していく方法もお約束。そういうところに市川監督の律儀さがよくあらわれている。

Posted by Syun Osawa at 00:55