bemod

2009年09月28日

本陣殺人事件

監督:高林陽一/1975年/日本

本陣殺人事件金田一シリーズは市川&石坂コンビの作品しか観るつもりがなかったのだが、ネットでの評価がすこぶる高かったので観る事にした。金田一像のあまりの違いにビックリ。ジーパンを履いているとかそういうレベルではなく、日常はおっちょこちょいなのに最後はビシッと締めるという黄金パターンから完全にはずれたキャラ設定。愛嬌が排されていて実にクール(というか、普通)。

率直に面白い作品だったと思う。市川監督の金田一が新劇ベースの華やかなものだったのに対して、高林陽一監督の金田一はアングラ演劇っぽい。そういう対比でもなかなか独特な香りを放っていた本作だが、評価が高い一番の理由は、本格推理小説っぽいトリックの解明に一番のスポットを当てていた事なんだろうと思う。1時間46分の作品なのに、かなり早い段階でネタバレさせて、トリックの解明に時間を割いている。市川監督と違って、その事件の背景をドラマ的に追うのではなく、殺人そのもののトリックとか、その過程のほうを中心にフィードバックしているところが興味深い。前半の刑事の間違った推理も、再現ドラマでやっていたりするところもわかりやすい演出だった。

劇中音楽はほとんどなく、淡々と進行する。上でアングラ演劇と書いたが、本格推理を丁寧に描いている事からそれほどアヴァンギャルドな作品を作ろうと思っていたというわけではないのだろう。ただ、心臓音だけで心理描写をしたり、カメラワークで工夫したりと、メジャー映画にはないインディペンデントさがあった。

配役もそんな感じ。特に高沢順子がこの映画の性格を決定しているとすら思える。高沢順子の前髪パッツンがとても印象的。全然関係ないけど、最近、前髪パッツンにしている女性をとてもよく見かけるようになった。流行してるのかな?

Posted by Syun Osawa at 00:39