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2010年04月21日

『BSフジLIVE PRIME NEWS』放送1周年記念シンポジウム

2010年3月28日/14:00−17:00/パークタワー東京

『BSフジLIVE PRIME NEWS』放送1周年記念シンポジウム第一部は、富野由悠季氏、市川真氏、宇野常寛氏、濱野智史氏、ラリー遠田氏が登壇。特に富野氏が面白かった。逆に富野氏がいなかったら、「マジメかっ!」というくらいに空気を読んだぬるい内容になっていた気が…。

それはともかく、富野氏の面白いところって、自分の思い描いていた未来とは少し違ったところで多くの人に愛される作品を残しているところだろうなぁ。何となく、文芸をやりたかったのに漫画をやらされた漫画編集者(ジャンプの西村編集長など)や全共闘世代の予備校教師などとも通じるところがある。

夢はある。しかし生きていくためには自分のやりたいことをやりたいようにだけやっていては生きていけない。この屈折した感情が持つ強いエネルギーを市場に流通するコンテンツに注ぎ込んだことによって、戦後日本独自のオリジナリティ溢れるコンテンツが作られていったのだろう。

あと、ニコニコ動画で跋扈する高度な技術を備えたアマチュア達の作品を富野氏が斬りまくっていたのも素敵だった。僕自身、FLASHでアマチュアとして作品を作っており、この場合、富野氏に斬られる方だから怒るべきなのかもしれないが、彼の話はすべてもっともだと思った。また、この手のアマチュアの作品群がプロの作品を駆逐していく話については、自然科学の領域で、クライマックス(森は最後にはすべて草原になるという話)と絡ませていろいろ考えているので、それは別の機会に書こうと思う。

第二部は、宮台真司氏、橋本努氏、水無田気流氏、速水健朗氏、宇野常寛氏が登壇。社会学者が3人もいて、その3人の言葉を宇野氏がまとめるっていう流れはかなり面白かったけど、でもやっぱり社会学者3人っていうのは役割が被りすぎていて何か変な感じだった。第二部で面白かったのは、社会学者3人のよくわからない教養勝負と、それを強引にまとめようとする宇野氏の頑張り。

内容的には、家族や会社以外の中間共同体が必要だって話に尽きていて、僕もこのテーマにはかなり興味を持っている。村落共同体が崩壊し、イデオロギーによって結ばれた社会運動の団体も大きな力を持っていない今、何が趣味で集まる友達以上の吸引力をもって、共同体を形成しうるのか? 未婚の人が増え続けている今、この問題はかなり重要なテーマだと思う。

そんなわけで、かなり興味深く聴いていたのだが、そもそも彼らのいるレイヤーではそういう共同体を必ずしも必要としてないので、議論が全部また聞き程度に空転していたのが寂しかった。まぁ、これは仕方ないかも。

Posted by Syun Osawa at 00:39