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2010年05月12日

その科学が成功を決める

リチャード・ワイズマン/訳:木村博江/2010年/文藝春秋/四六

その科学が成功を決める期待してたほどは「ガッ!」とは来なかった。ロンドンの心理学者が書いた本で、偽科学系の本のように世間で一般的に信じられている心理学の「ウソ/ホント」を、科学論文などを参照しつつ私見を述べるといった内容だった。

ニセ科学批判の難しさは、それを完全に否定することもまた難しいことである。そのため、巷で信じられている話をズバズバと斬っていくというほどの爽快感はなく、結構ぼやかされて書かれていた部分も多かった。完全否定するには至らないので、そのあたりにジレンマが残ってしまうのだ。そうしたもどかしさは、日本のニセ科学フォーラムとかでも昔よく話されていた気がする。

先日、僕の家の近所にも、「マイナスイオンはじました」という謎の看板ができていたが、だからといってそれについて「何とかせねば!」という感情も起きてはこない。袋田の滝に行ったときも、親子連れがいて、お母さんが「マイナスイオンがいっぱーい」と言っていたけど、それはそれで別に構わないとも思っている。

そんな風に考えてしまうと、心理学的な領域で用いられる科学的な言葉の真偽などどーでもよく、ただ何となく消費されていっているだけなのだろう。自己啓発本に書かれていることをやんわり否定したところで、それも新たな自己啓発本として消費されてしまう。それでも科学的にマシならそっちのほうがいい…みたいな曖昧なところでの勝負しかできないのがもどかしいところだ。しかも、そんな事に目くじらをたてることの方が大人気ない、そんな雰囲気まで最近は醸成されてきて、真面目な奴がどんどん馬鹿に見えてくる。

うーむ。社会って難しいな。←中二病

Posted by Syun Osawa at 00:06