bemod

2010年07月15日

図解雑学 美術でたどる日本の歴史

並木誠士/2002年/ナツメ社/四六

図解雑学 美術でたどる日本の歴史日本史にも美術史にも明るくないくせに、そのどちらにも興味があるような人(つまり僕です)にはうってつけの本だと思う。内容の濃度はナツメ社だからアレとしても、美術を扱う本にしては図版とか写真の量がかなり中途半端だったのが少し悔やまれる。

この本をザッと読んで感じさせられたのは、日本の美術史の前半部分はほとんどが仏教絡みだってこと。だから西洋美術とキリスト教の間に骨がらみの関係があったのと同様、日本でも中国伝来の仏教美術に引っ張られ続けることになる。

では、どのあたりから、日本のオリジナルとでも言えるような美術が生まれてきたのか? ここはちょっと気になる。とはいえ、「何をもってオリジナルと言うのか?」という大前提を僕はわかっておらず、圧倒的にこの界隈の知識も足りないため、飛鳥時代あたりから戦国時代にかけてグラデーション的に入ってくる日本美術の端緒を捉えることは難しい。

鎌倉、室町あたりかな? とか、狩野派の隆盛に沿ってるのかな? とか。もしくは、線画のエッセンスだけが醸成されて、浮世絵・大和絵・錦絵・ポンチ絵・漫画あたりの連なりが見え隠れしてるあたりかな? とか。いずれにせよ、この本を読んだだけでは当然わからない。

中には、山種美術館の常設展で好きになった上村松園が第4回内国勧業博覧会で歴史画を出品していた話など、面白い情報もちらほら載っているので、作品をたくさん見ることができれば、副読本的に楽しめる本になるかも。この本の巻末で紹介されていた参考文献を見つつ、最近買った『別冊太陽 長谷川等伯』とか含めて、作品自体をもっと見ていかないとどうにもならない感じではある。

Posted by Syun Osawa at 01:08