bemod

2010年07月22日

水は何にも知らないよ

左巻健男/2007年/ディスカヴァー21/新書

水は何にも知らないよ江本勝氏が書いた『水からの伝言』にまつわる偽科学話は、偽科学に少しでも関心のある人から見ると、至るところでフルボッコにあっていて、「もうやめて! 江本氏のライフはゼロよ!」状態になっている。ところが、偽科学に関心の無い人には、こうした状況は目に入らないことが多いらしい。

僕はゼロ年代、東浩紀氏周辺の批評を追いかけていたのだが、その中でよく言われていた「言説の島宇宙化」という状況がこういうところでも起きているのだろう。例えば「マイナスイオン」という言葉を聞いて、即座に胡散臭さを感じる人と、癒されてしまう人では島宇宙が異なっているわけだ。

島宇宙が異なるために届くべき人に言葉が届かないという困難さ。これは、問題の多い新興宗教から信者を奪回することの難しさにも似ているかもしれない。それぞれの島宇宙には違うタイムラインがあり、違うストーリーが受容されているわけだから、そのストーリーを無理やり剥奪する形で新しい島宇宙へ引っ張っても、なかなか上手くいかない。であれば、その2つのストーリーをハイブリッドに接合して、そのストーリーにいざなう様な形で引き入れるしかないんだろう。でもこれは、本の内容とあんまり関係ないかw

後半に書かれていた水の話はなかなか面白かった。アルカリイオン水って、子どものころは凄い上質な水を作る装置だと思っていたけど、やっぱりあれも怪しげだったんだなぁ。飲料水に関しては、僕も数年前から水道水を沸騰させて飲んでいる。ただ、マンションのため、たまに黒い粒が混ざることがあって、それが時折気になっていた。あれはフィルターで取れるらしい。浄水器がすべて怪しいというわけではなく、活性炭とフィルターはそれなりに効果があるらしいので、フィルターだけは買おうと思う。

Posted by Syun Osawa at 00:29