bemod

2010年09月18日

点 −ten−

宇多田ヒカル/2009年/EMI Music Japan/A5

点 −ten−宇多田ヒカルが『点』と『線』という本を2冊同時に出したとき、これは是が非でも新刊を即購入して読みなければと思ったものだが、値段がそれなりで内容が微妙な感じがしたので、あと一歩のところでスルーしていた。

その後、すっかりこの本のことは忘れていたのだが、先日、宇多田ヒカルが活動休止したときに(もしくはその少し前だったか)、この本のことに触れていて、「ああ、これは読まないと…」と思って読んで見た次第。『線』の方は書き下ろしがなく、ブログの集積だったので『点』だけを読んだ(こちらもインタビュー記事を集めただけのものだが…)。

とにかく、長い! 長すぎる!

本はかなり分厚くページ数もかなりあって、しかもそのほとんどがインタビューを文字おこししただけのものである。それだけならいいのだが、普通はインタビューって内容が上手く要約されているわけ。ところが、この本は本当に愚直に宇多田が語ったことを文字にしている感じ。だから、話が何度もループするし、読みにくいし、ともかくイライラしながら読んだ。きっと、最近の音楽誌の「○○字インタビュー」とかって、こういう風にして文章量を稼いでいるのかな(知らんけど)。

で、ようやく内容。

まぁ…僕が頭に描いていた宇多田ヒカルそのものすぎて、これといった感想が浮かんでこない。もともと根暗でオタクなイメージはあったし、僕自身、鬼束ちひろと同じくダウナー系の系譜に属するミュージシャンではないかと思っていたので、今回の活動休止もさほど驚かなかった。

そんなグダグダな内容と、イライラな読書だったわけだが、唯一というか、さすが宇多田ヒカルだなと思ったのは、彼女が作品をつくるとき、常にリスナーを意識しているということだ。そして、それは10代の頃から一貫して変わっていない。ここまで天然培養で、生粋のエンターテイナーってなかなかいないと思う。

そりゃ、日本でリリースしたアルバムがすべてミリオンセラーなわけで(しかも、すべての曲を作詞・作曲している)、何て言うか、持っているものが違うやね。どんな形で復活してくるのか、僕はとても楽しみにしている。

Posted by Syun Osawa at 01:08