bemod

2011年03月06日

第78回 フレッシュボーイ 〜未来のチャンプ〜

2011年1月27日/17:45−21:30/後楽園ホール

自分の通っているジムの選手が試合に出るというので、数年ぶりに後楽園ホールへ行った。最後に行ったのは、河野公平選手と菊井徹平選手の日本タイトルマッチだったから、4年ぶりということか。

今回のイベントは、プロデビュー戦から数戦までの4回戦ボーイの試合が中心だった。出場選手のプロフィールを見ると、20代後半から30代前半の選手が多く、10代の選手はほとんどいなかった。逆に、34歳でプロデビュー戦という人がいた。

10代とか20代前半の選手なら、今後どのように成長していくのかというスポーツの視点が強くなるし、例えばボクシング漫画の多くはそういうコンテクストを軸にして、作品が作られている。しかし、今の時代は20代後半くらいからプロになる人も多いため、必ずしもそういうわかりやすい成長物語だけで、ボクシングは成立していないのだろう。

ボクシングは根強いファンが支えているとはいえ、長らく低調で、ほとんどのプロボクサーは試合だけで生活していくことはできない。しかし、日々の練習を死ぬほど厳しく、費用対効果などまったく合わないプロスポーツである。

それでも、あえてボクシングをするということには別の何かが決定的に必要で、若ければ不良の更生物語だったりするのかもしれないし、若くなければ自分探し的な何かになるのかもしれない。そして、最近は後者の理由がボクシングを志すきっかけになっているのかもしれない。

こういう視点を含んだ形で、今のボクシング漫画は描かれているのだろうか? 決して若くない選手たちが、精一杯の練習をして戦う(正確には削りあうと言うべきか)姿を見ながら、そんなことを思っていた。

僕自身、そんなボクシング漫画を描きたくて、数年前にプロットを作ったのだが、そのままズルズルと放置されていた。今回、後楽園で試合を見て、その当時に描きたかった漫画(疲れた社会人が自分の人生にもう一度アクセルを踏むような作品)を、やっぱり描いておきたいという気持ちが、また強くなった。

Posted by Syun Osawa at 00:06