bemod

2011年05月27日

アメリカン・パイ

監督:ポール・ワイツ/1999年/アメリカ

アメリカン・パイアメリカの青春エロバカ学園コメディ(と言うジャンルでいいのかどうかはわからんが…)の中で、ゼロ年代のメインストリームを築いた映画が『アメリカン・パイ』シリーズなんだと僕は勝手に思っている。まだこの手の映画を見始めたばかりのくせにいきなりこんなことを書くのは、TSUTAYAの棚でシリーズ化して並んでいるのは、このシリーズと『最終絶叫計画』シリーズくらいしかないからだ。

映画の特典インタビューで出演者の一人が、今のハイスクールのリアルな日常を描きたかったと語っていたので、僕にはどぎつく感じられるようなことも、アメリカではまぁ当たり前の事なのかもしれない。

そんなアメリカの若者文化の中で、僕が最も感心したのは、クラスメイト同士のセックスシーンがインターネットを通じて流出したときの生徒たちの反応だった。童貞の高校生が外国からの留学生(?)とのセックスを友達だけにネット中継しようとしたところ、誤って学校中の生徒に向けて中継してしまったのである。日本でも恋人同士のセックス写真が流出してしまい、それにより大きな被害を受けるという事件がいくつもあった。そんな大事件が、アメリカではちょっとした事故程度の笑い話として処理されているのである。

日本だったら、青山真治氏あたりが、薄暗いトーンで少女の悲しみを淡々と描くような素材を、単なる笑い話の一つとして処理しているアメリカのパワーはやはり凄まじい。そういえば、パリス・ヒルトンのセックスビデオが流出したときも、パリスは平然とした様子で、そのビデオの売り上げの一部を渡すように要求していたっけ。

僕が驚いたのはそれくらいで、あとはまぁ、プロムで童貞捨てるのに情熱を燃やす若者の青春群像というわかりやすいストーリー展開。テンポもよくまずまず楽しめた。僕はプロムというものがどういうものなのか、この映画を見終えてもはっきりわかっていないのだが、プロムで童貞を捨てるということの裏側には、高校生の間に童貞(および処女)を捨ててないとかっこ悪いというコンテクストがアメリカの若者文化の中には浸透しているのだろうか。

ともかく、ゼロ年代の青春エロバカコメディの導線を引いた作品だけあって、退屈せずに見れるまずまずの佳作だったと思う。

Posted by Syun Osawa at 02:07