bemod

2012年01月19日

沈黙入門

小池龍之介/2010年/幻冬舎/文庫

「男が喋りで何が悪い!」っていう開き直りが随分浸透してきた感がある。

芸能人ががそう言うのはまぁいいけど、それにしたって最近の日本人はよく喋るよなぁ…と思うことが職場なんかでもよくある(もちろん根拠は全然ない)。その喋りに何か意味があるというわけではなくて、静かな雰囲気が怖いとか、黙ってると集中力が持たないとかいう理由で、みんなで楽しい雰囲気を演出しようとすることを全面的に肯定しているようだ。

そんな馴れ合いが上手く機能している人にとっては良いのかもしれないが、それによって少なからずストレスを感じている人もいる。僕などはどちらかと言うとそちらのタイプかもしれない。だから話に合わせることにくたびれてきて「しんどいなぁ」などと思っていたときにこの本のタイトルが目に留まった。

著者のプロフィールを見てみると、東大卒の住職という豪華なスペックの持ち主で、この人の導き出す処方箋が僕に上手くフィットするかどうかはまた別の話になりそうだ。今の時代は黙っていれば黙っているほど損する仕組みになっているようにも思うので、ただ沈黙していれば勝手なラベルを貼り付けられ、思ってもない状況に追い込まれる危険性もある。そこを上手く切り抜けようとすればそこではまた別の神経を働かさねばならない。だから沈黙という処方箋をこの本通りに受け取るのはなかなか難しい。

ああ…こんな風に考えるからダメなんだろうなw 沈黙をそういうゲーム的なものとして捉えてしまのは、僕がすっかり現代のコミュニケーション病に冒されているからかもしれないなぁ。

Posted by Syun Osawa at 01:26