bemod

2012年01月21日

Saori@destinyワンマン・ライブ

2011年7月3日/19:30−21:30/渋谷Glad

新アルバム『Domestic domain』のレコ発ワンマン・ライブ。僕は 書泉ブックマートのインストアイベント で買ったアルバムを半月ほど聴き込んで臨んだ。

彼女がリリースした『JAPANESE CHAOS』から『WORLD WILD 2010』までのアルバムがアイドルの華やかさを持ちつつ、今流行のエレクトロを加味したものだったのに対して、『Domestic domain』はかなりトーンを渋めに抑えつつよりフロアライクな方向を模索した内容になっている。

そのため、僕が若い頃によく行っていたテクノのクラブ・イベントの雰囲気を思い起こさせるようなミニマルなノリが加わっていた。これは「クラブでアイドルの楽曲を流して踊ろう」という昨今の安易なノリとは若干違う、もう少し硬派な印象で、それゆえダンスに最適化されつつある現代のアイドル楽曲のコンテクストを少し外しているようにも思った。

だからダメだということではない。むしろ逆で、『Domestic domain』のノリというのは、秋葉原のMOGRAに代表されるようなヲタク文化に最適化された形でのアイドル=ダンス=クラブという明快な図式に対して、非ヲタク的な視点から同じ構図のマッピングを試みているように感じられるのだ。

そのチャレンジが成功しているかどうかはわからないが、僕にとって彼女の試みが刺激的であることは間違いない。フロアの過激な盛り上がりの中心にアーティストではなくアイドルとしてのSaori@destinyが立っているとすれば、まだ誰も見たことのないアイドル文化の新しい世界の芽を、彼女は確実に育てているのだ。

Posted by Syun Osawa at 13:10