2012年08月25日
サムスン式仕事の流儀 5年で一流社員になる
ムン・ヒョンジン/訳:吉原育子/2012年/サンマーク出版/四六
モーレツすぎる。
ビジネス書はたまに読む程度だし、読むとしてもいかに厳しい雇用状況の中でサヴァイブするかといった本しか読んでいないので、この本に書かれているような直球ストレートのボールに対して僕はただ立ち尽くすのみだった。このボールをガチコーンと打ち返せるような人って、僕と違って大学卒業当時から有名メーカーに勤務していて、わき目も振らずに仕事に没頭できるような人なのだろう。
もちろん、これはアジテーションのための本なので、わざとどぎつく書かれていることは百も承知なのだが、それでも大した能力もない一平卒がサヴァイブするための本としてはあまり適切ではないと思った。まず第一に、仕事に全精力を傾けられる心理状況を作るのが難しい。第二に、もし仮にそういう心理状況を作り、仕事に没頭したとして、それに答えてくれる会社であるかどうかも疑わしい。
著者のいたサムスン電子は今や韓国の枠とを飛び越え、世界的な一流メーカーである。そして、サムスン電子が大きくなる過程と、彼がモーレツに働いた時期が上手く重なったからこそ語れる話なのではないだろうか。日本でも、高度経済成長時代に各新興メーカーが大きくなっていく姿を追った『プロジェクトX 挑戦者たち』というドキュメンタリー番組が過去にシリーズで放送されていて、あれとほとんど同じような話のようにも思える。
いずれにせよ、ちょっと読んでみたらとんでもなく熱いことが書かれていて、仕事へのモチベーションも薄く、できるだけ波風立てずに静かに生きたいだけのおっさんには刺激が強する本だった。
Posted by Syun Osawa at 00:33