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2013年06月15日

潜入ルポ ヤクザの修羅場

鈴木智彦/2011年/文藝春秋/新書

潜入ルポ ヤクザの修羅場ムラ社会的共同体も日本的企業における共同体も失われつつある今の日本において、「中間共同体いかにして構築されるべきか?」といったことを考え始めて随分経つ。その問いに対する明確な答えは今も得られていないが、その一つの答えを示してくれるのがヤクザ組織だろう。ヤクザ組織は親分を頂点として擬似家族的なコミュニティを形成しており、その結びつきは他のコミュニティよりも強い。

…とまぁ、コミュニティ関連の話題として本を読み始めたものの、そちら側ではあまり大した知識は得られなかった。というのも企業が非正規雇用を増やした結果、社員の企業への求心力が失われていったのと同様にヤクザ組織もコミュニティの力を弱めていったからだ。

よく考えるとこれは当たり前の話である。組織というのは金太郎飴のようなものだから、どこまで小さく組織を切り分けていってもそれらすべてが現代社会からの影響を受けているためだ。そのため、今回はコミュニティの話はひとまず置いて、イメージを売る商売としてのヤクザについて考えながらこの本を読んでいた。

イメージを売る商売という視点でみると、アイドルとヤクザはとてもよく似ている。なぜなら世間からどのように見られているかというイメージが、アイドルとヤクザの商品としての価値を形成しているからだ。このように考えると、ヤクザを表現した有名な言葉「バカではなれず、利口でもなれず、中途半端ではなおなれず」がアイドルにもあてはまることがよくわかる。

Posted by Syun Osawa at 00:27