bemod

2004年11月02日

くもとちゅうりっぷ

くもとちゅうりっぷ『くもとちゅうりっぷ』(演出、政岡憲三)を観賞。ちなみに左の画像は、本作品が公開された1943年当時の新聞広告らしい(『日本漫画映画の全貌』より引用)。凄い。とにかく凄い。

この作品が生まれた経緯は『日本漫画映画の全貌』に詳しいが、何でもこのアニメーションは政岡氏の設計によるマルチプレーン・カメラによって撮影されたらしい。しかも、フィルムは松竹の録画用のフィルムの余りを使用したそうだ。アニメを作るために撮影機材まで設計するなんて、カッコ良すぎるエピソードだ。もちろんアニメーションも尋常じゃない。とてつもなく繊細に動く。ミュージカル仕立ての難しい作品にもかかわらず、音ともしっかり同期がとれている。こんな凄い作品がたいした絵コンテもなく作られたことに驚きを隠せない。はぁ。

タイトルの『くもとちゅうりっぷ』は平仮名だとわかり難いが、蜘蛛とチューリップの意味(内容的には蜘蛛とてんとう虫の話だけど)。戦時中という時代背景にもかかわらず、能天気にこういう作品を作れるってのは本当に素晴らしい感性だと思う。

(関連)戦争と芸術

Posted by Syun Osawa at 00:53