bemod

2004年12月19日

物語消費論 −「ビックリマン」の神話学

大塚英志/新曜社

物語消費論本を読み終えて、ネットで表紙の画像を拾おうとしたら何故か西島大介の絵のヤツしか出てこない。よく見たら版元も角川になっとる。単純に絶版、他社から再販ってだけの話なんだけど、なんかこう嫌な匂いを感じ取ってしまうんだな。少なくとも僕はこの新曜社のダサい装丁の方が、よっぽどこの本の中身をあらわしていると思うぞ。可愛く作り変えられた偽史的なさ、虚構みたいなのはもうね…。

大塚英志はこの本を一番最初に読むべきだった。インパクトがあり、わかりやすく、そして何より彼自身が「あがって」いない現役である。現役であるからこその嫌な感じとか、突っ張った表現とかがちゃんと出ていて僕なんかは人間として共感できる部分も多かった。「困ったちゃん」の多用とか、「言う」を「ゆー」と書くあたりにちゃんと時流に乗っている大塚英志を感じられるし。彼が主張する「物語消費」とか「虚構」といった大枠は、この本から現在まで一貫している(逆を言うと今も昔もそれほど変わっていない)。

で。僕の結論。「それを言ったらなんでも虚構です。」

以前、石野卓球が雑誌のインタビューで「この曲はクラフトワークっぽいですよね?」というアホな質問に対し、
「それを言ったらなんでもクラフトワークです。」
という明快な答えをしていたことを思い出す。そんな事はもうみんな知っている。知っている上で、宮崎駿が『 風の帰る場所 』で述べた言葉が重要になってくるのだ僕は信じている。虚構がどうとかさ、NHKスペシャルのイラク特集見たらそんなもんはどーでも良くなった。もうしばらくこのネタいいや。少なくとも偽りの歴史に戯れるだけの人間にだけはなりたくないと思う。

Posted by Syun Osawa at 00:17