bemod

2005年04月21日

太陽の塔

森見登美彦/新潮社/書籍

太陽の塔京都の地名がふんだんに散りばめられた地方出身の京大生が描く「その周辺のファンタジー」という感じ。地方ネタ&ファンタジーというのは流行なんでしょうか。よくわかりません。ストーリー的にはモテない大学生が斜めに世間を見ながら送る日常生活を語っている、というだけの話。京大生という関西ではそれなりに高いプライドが、魚の小骨のように一生喉に刺さり続けるであろう事を自覚しながらも、結局はたわいもない事に悩み続けている自分について言及している(もちろん作者=主人公という意味ではない)。

「みんなが不幸になれば、僕は相対的に幸せになる」

宮台真司は サブカル「真」論2 で「今の大学生は、モテないということがルサンチマンではなくなった。」と言ってたけど、まだそれを真正面からやってるヤツがいるんだなぁ…なんて雑な感想を抱きながら読んでいたら、あまりにストレートなラストだったもんでちょっと泣けてしまった。

つまり僕は彼女が好きである。

これ以外にないわけで。こういうベタに立ち戻れるファンタジーはやっぱし強いと思う。しかしまぁ、彼の小骨はこんな程度のラストではなかなか取れる事はないだろうけど。

この本を読んでたら、不覚にも京大出身だった高校の担任を思い出してしまった。なんでか知らないけれど文章の雰囲気が凄く似てる。例えばそれは、学級新聞に『究極超人あ〜る』の「…と思ふ」的な言葉を多用していて、かなりハズしていた記憶とか。もしかしたら京都大学には「京都弁」ならぬ「京大弁」なるものが存在するのかもしれない。

Posted by Syun Osawa at 22:27