bemod

2005年09月13日

帝都物語

原作:荒俣宏/画:藤原カムイ/角川書店

帝都物語メディアミックスとは恐ろしいもので、一つの作品についた消費者をメディアを替えて何度も何度も引き込もうとする。今回の作品でいうなら、小説を読み、映画を見てから、この漫画を読むという感じだろうか。残念ながら僕はこの漫画で初めて『帝都物語』に触れた。

漫画版『帝都物語』は、この作品だけで帝都物語を作ろうという意識はあまり感じられず、全体的に散漫な印象を受けた。世界観と隠しネタでお茶を濁す角川書店らしい戦法は織り込まれているので、きっとそういう方向性の作品なんだろう(魔術解説や魔物図鑑、登場人物紹介にやたらページが割かれてるし…)。

そんな微妙な漫画の中で興味深かったところは、関東大震災が幻術的災いとして登場するシーン。阪神大震災をこういったネタに使うことは可能だろうか? マジメである無しに関わらず僕は可能だと思うんだけど、どうなんだろ…。あと、あとがきによると、この作品は映画より前に作られたらしい。にも関わらず、加藤保憲の顔が映画で加藤役をつとめた嶋田久作に似ているのだ。不思議。

作画の藤原カムイさんから連想するのは一つだけ。小学校のときに買った押井守原作の『犬狼伝説』のシルバーを全面に施した装丁の大判漫画。大友克洋の漫画より先に買ったこともあり、絵の緻密さと生々しさに衝撃を受けた覚えがある(こちらの漫画は後にアニメ映画『 人狼 JIN-ROH 』になる)。この人の画のタッチっていろいろあるけど、僕は『犬狼伝説』を筆頭にした冷めた劇画調が好き。

Posted by Syun Osawa at 02:03