bemod

2005年10月26日

第10回 アジア漫画展

2005年10月22日−11月11日/国際交流基金フォーラム

第10回 アジア漫画展無料のシンポジウムが面白かったことってそんなになくて、まぁ…今回も順当に(以下略)。

今回は「アジアの環境問題」がテーマで、展示されていた諷刺漫画も環境破壊の現状に警鐘を鳴らすような作品が多かった。気になったのは日本代表として参加されていた横田吉昭さんのシンポジウムでの語れなさ。無口という意味ではなく、自分の目の前の問題に真摯に立ち向かえてない様子。

展示作品は漫画と言っても基本的には一枚絵(イラスト)で、作品性を押し出したものもあれば、現状をそのまま伝えているものもあった。中でも、タイのティワワット・パッタラクンワニット(Thi-wa-wat Pattaragulwanit)さんの象が森林伐採で森に住めず都会のホームレスになる作品や、ベトナムのニョップ(Nhop)さんの魚の食物連鎖の最後の消費者であるサメがゴミの魚に食われようとしている作品などは、ユーモアもあってフックにかかった。あと中国の黎青(Li Qing)作品はイラストの感性がかなりポップで、無料配布していたブックレットの作品はどれも僕好みだった。

ただ残念なことに、そこから派生する問題の究明や政府に対する批判といった攻撃的な作品はほとんどなかったように思う。森林伐採も大気汚染もゴミ問題も水不足も、多くの人は漫画で提示されるまでもなく知ってるしさ…。その報告会というのでは(以下略)。

にも関わらず、マスコミ関係者と思しき人達から「こういう作品を描いて政府の圧力などはありませんでしたか?」などというトンチキな質問が飛ぶんだな、これが。彼女達はちゃんと作品を見たのだろうか? どこにそんな刺激的な作品があっただろうか? シンポジウムの司会をされていた清水勲さんが「 日仏絵はがきの語る100年前 」の講演で紹介されていたアーサー・シイクほどの生々しさがあったとは、僕には思えない。

黎青(Li Qing)
《Blooming All Over The Year》 (c) 黎青/Li Qing

Posted by Syun Osawa at 23:52