bemod

2005年12月21日

FINAL FANTASY ― ファイナルファンタジー

監督:坂口博信/2001年/日米合作/アニメ

FINAL FANTASYあるCG屋さんが「この映画の失敗のせいで、CG業界の単価が下がった」と言っていた。B系であることは、公開前から噂されていて、その通りに失速した映画なので、それをことさら追求してもしょうがない。

ババ抜きで言ったらこの映画はまさしくババ。だから必要ないという意味じゃなく、誰かがこのババを引かなければ終わらなかったゲームなんだと思いたい。だってこの後は 『 アップルシード 』のような安定した方向へシフトするわけで、スクウェアがあえて人柱になったと思えば歴史的には評価されるべき作品なのかもしれないし。

そもそもこの映画の不幸は「全編フルCG」というただでさえ高いハードルを、面倒臭い世界観でさらにハードルを上げちゃったことにあったんだと思う。

僕ならこうする。冒頭の20分はひたすらヒロインのエロシーン。CGでも人間は勃起できるんだということを存分に見せつける。そこから怒涛のエイリアンの侵略場面。「ガイア」とか「8番目の生命体」とかどーでもいいんですよ。そんな『エヴァンゲリオン』みたいな要素も、『アキラ』のSOLみたいな武器もいらん。地球がエイリアンによって壊滅状態に追い込まれる。その危機を救うべく、元空軍のアメリカ大統領が宇宙船に乗り込み宇宙へ飛び立つ。これだけで十分です(え?)。

実はこの映画は、DVD特典の製作過程とコメンタリー(本編を観ながら監督が延々制作の裏話を語る)が一番面白かったりする。制作期間の4年間の間に技術が進歩してしまって、4年前に作った最初の映像が最後の映像に比べてトーンダウンしてしまうので、それをさらに調整したことなど妙な苦労話を披露していた。

CGアニメは土台部分の技術革新を繰り返していたんではいつまでたっても見る側のベースが固定されないし、どこかで漫画技法みたいに安定軌道に載せないといつまでたってもエンターテイメントにはならないと思う。そういう意味ではディズニーやPIXERのCGアニメはレンダリングも含めて正しい方向性のようにも思えなくもない。日本は圧倒的にセルシェードが強そう。

Posted by Syun Osawa at 23:09