bemod

2005年12月29日

あの戦争は何だったのか ― 大人のための歴史教科書

保阪正康/2005年/新潮社/書籍

あの戦争は何だったのかあの戦争は何だったのかは、この本を読んでもわからない。おそらく今後、どれだけ太平洋戦争関連の本を読んだって、たぶん僕にはわからないと思う。とはいえ戦争画の後ろ側で何があったのかを、薄く知っておきたいと思って買ったので、そういう意味では十分な内容だった。考え方の面で冷めてるんだけど冷め過ぎず、熱いんだけど熱過ぎない。その頃合い加減がちょうどいい。

イラクでは連日テロが起きていて、占領軍がその被害を受けている。イラク軍はあっけなく負けたにもかかわらずだ。日本はその逆。玉砕、玉砕で多くの死者を出したのに、占領後は抵抗運動がほとんど起こらなかった。わからない。

福島みずほさんが憲法改正について「日本を戦争をする国に」と言っていて違和感を憶えたことがある。「すべての戦争に反対します!」は正しいけれど正しくないし、「あの戦争は正しかった」もあり得ない。そもそもこの二つは相反してない。このあたりの議論の食い違いが僕にはどうにも上手く捉えることができない(頭の悪さが原因なんだけど…)。わからないことだらけなので低レベルの置き換えをすると、ようするに「ケンカをするな」ということだろうか。

この本で保阪さんは第4章で「負け方」の研究をしている。ここが僕には一番すんなり入ってきた。もしも、あの戦争から学ぶことがあるのだとすれば、「ケンカの終わらせ方」なのかもしれない。

普段はケンカをしない大人しい子が、ひとたびケンカになれば相手が死ぬまでナイフでメッタ刺しにしてしまう。これはケンカを教えられてないからじゃないだろうか。ケンカはしても、それが口論で済むものか、たとえ殴りあったとしても数発で終わるものか、相手が強かったとしても回りに止めてくれる環境があるか、ハッタリでもいいからひと言タンカは切っておくべきか、みたいな駆け引きはいくらでもあると思うし、それを教えることにより被害を最小限に抑える試みもあっていい。そしてそれは、あの戦争を終わらせることができず、最後の最後までグズグズになり、あり得ない数の死者を出してしまったことから学ぶべきだろうと思う。

ちなみに僕の最大の謎は、あの戦争はアメリカと戦っていたはずなのに、某掲示板に巣食う保守系の書き込みの先がいつも韓国と中国に向いているところだったりする。韓国も中国も東南アジアの国々と同様に、当時の日本にとっては開放すべき国だったんじゃないのかな。世の中、わからないことばっか。

(関連)戦争と芸術

Posted by Syun Osawa at 23:04