bemod

2006年01月24日

キリクと魔女

監督:ミッシェル・オスロ/1998年/フランス/アニメ

キリクと魔女配色にしびれた。影絵アニメの進化系。本物の影絵アニメは小学生の時に 何度か 見ただけで、本当に進化系なのかどうかはよくわからない。通常の影絵は画面の情報を極限までそぎ落としているのにたいし、こちらは描きたい部分は極限まで色鮮やかに描いている。究極のハイコントラスト作品。魔女の使いの丸木舟が出てきたときは、完全にヤラれた。

その後の歌と踊りで完全にオスロの世界に飲み込まれる。フェミ・クティ&フェラ・クティに通じる音楽も素敵だし(というよりフランス産アフリカ音楽か)、踊りとともに歌われるアホみたいな内容の歌詞もいい。とにかくミュージカル的に歌われる劇中歌はことごとくカッコよくて、「キリクは小さい、キリクは不良、キリクはいたずら、キリクは大きくない」なんてバカな歌を村人がみんなで歌うんだな。

影絵の踏襲はキャラクターの動きにも現れていて、通常のアニメの動きもするんだけど、横の動き(影絵的な動き?)を徹底しているし、魔女の家の下を抜けるアリの巣の表現はJAROのCM以外で見た事がない。稚拙なようで稚拙でない。

ラストの展開は、僕にはちょっと違和感があった。キリクが大人になり、魔女を妻にするのはいいとして、その後、二人は堂々と金ピカの姿で村に帰ってくる。魔女は普通の女性になりましたって事で。たしかに物に変えられた男は元に戻ったけど、あんた達のつけている宝石はみんな盗品ですよ、と一人突っ込んだ。魔女が普通の女になって戻ってきたとしても、積年の恨み辛みで袋叩きにあうのが世の常じゃないのかな? とはいえ、そのカタルシスは子供の夢としては厳しいか。

Posted by Syun Osawa at 00:08