bemod

2006年04月14日

時の支配者

監督:ルネ・ラルー/1982年/フランス、スイス他/アニメ

時の支配者ルネ・ラルーを見始めると、高校生のときに好んで読んでいた松本大洋さんがモロバレになっていくみたいで何だか複雑。

原画がメビウスってところに惹かれつつも、主人公の少年(ピエール)以外の人物は普通のヘタウマな絵にしか見えなかった…orz

冒頭、父と子が自動車で砂漠を疾走している。ピエールが「何でとばしてるの?」と言い、お父さんが「とばしたいからさ」と冷めた返答。ここからハードボイルドな展開が起こるのかと思いきや、わりとモッサリとした感じで話は進んでいく。いきなり親が死んで、子どもがひとり取り残される展開というのは、『 ファンタスティック・プラネット 』と同じ。そこから奇妙な世界設定をバーンと見せながら、ルネ・ラルー独特の不思議な世界感と強い台詞で観客をグイグイ引っ張っていく。ミニマルな電子音を効果的に用いているところも前作同様(僕はこれが一番好きだったりする)。

人を攻撃するというスズメバチの住む星に取り残されたピエール少年を救うため、父親の友人だった男が乗る宇宙船の乗組員が彼にトランシーバーで語りかける。ラストの時間軸を使ったひっくり返しの展開がなかなか絶妙(僕にはちょいムズかった…)。宇宙を舞台にして時間軸を交差させる物語って、最近でも『ほしのこえ』などがやってますが、わりと世界的にやられるてるもんなんですね。僕はSF耐性が皆無なのでその辺りの事情はサッパリです。

そんでもって、この作品にも宗教めいた団体(人種)が登場する。

統一化(全体)を幸福とし、みんな顔がない(つまり個性がない)、全体主義を打ち出し、操り人形のように生きる生物たちの幸福を「自己の否定」というやり方で否定し、集団を破壊してみせる様子に社会的なメッセージがあるように思えた。

画面のレイアウトは舞台調で、固定された横向きの画面に画面の外からキャラクターがフェードインしてくるのとかは、今やるとなかなか新鮮かもしれん。

Posted by Syun Osawa at 23:40