bemod

2006年04月25日

蛙になったお姫さま

監督:ミハイル・ツェハノフスキー/1954年/ソ連/アニメ

蛙になったお姫さまもろにトレース動画?

実写の映像をそのままアニメにトレースし直したような(じゃなかったら凄いが…)、超滑らかな動きのロシア民話風のアニメ作品。1954年のソ連の社会状況がどんな感じなのか僕はあまりしらない。スターリンからフルシチョフに政権が変わったのが1953年だから、全体主義的な締め付けが緩やかになった頃なのかなとも思うけど、どうかな? 逆にキューバ危機などを引き起こしたのもこの人で、アメリカとの対立をより鮮明にしていったわけで、それがアニメの中にどう影響していたのかも気になる(この時代のアニメでディズニーの影響は免れないわけだし…)。

ディズニーうんぬんの話で言うと、このアニメは完全に実写映画の画面構成で、ディズニー系列の漫画映画とは根本的に違う。ポール・グリモーのこの時代の作品がアメリカ的なカメラアングル(演劇の舞台のようなカメラアングル)だったことから考えても、この作品の画面は新鮮だった。

とにかく愛すべきバカアニメ。

冒頭の展開が民話らしいといえば民話らしい。『 長靴をはいた猫 』のような感じで、ヒロインが魔王に失言をして怒らせるところから始まる。求婚を迫る魔王に対して、ヒロインが「ご自分の顔を鏡で見てみたら?」と失礼な態度で断った結果、蛙に姿を変えられてしまうのだ(アホ)。

ここから、もっとアホな展開が続く。王様の三人の息子に嫁を探す方法として、弓矢を飛ばし、それが落ちたところにいる女性を嫁にするという方法を採用。そして、三男の矢はあの蛙の元へ。なんと三男は王様の言いつけを守って蛙と結婚をする(んなアホなw)。しかも、みんなわりとその状況を笑いながらも受け入れてる。

そっからの展開もなかなかユニークですが、まぁそれはそれ。気になったのは、王子が魔王を倒しに行く途中、宿を探す中で魔女の家を訪ねるときのこと。魔女が「どうなさいました?」とドアを開けるたときの、王子の魔女に対する言い草はこうだ。

「おいぼれの婆さん。何か飲み物と食べ物をくれ、話はその後だ。」

超リアルな王子w このあたりに僕はソ連の作品の面白さ(それをリアリズムという人もいるけど…)を感じる。あと、この物語は、最後に二人がキスをして終わる。このアニメは教育アニメとか国策アニメとして作られているらしいのだけど、中国とはやはり違う倫理観を持っていて、そのあたりも興味深かった。

何気にロシア系アニメって面白いのかもしれん。

Posted by Syun Osawa at 23:47