bemod

2006年05月15日

粛清の嵐と「プラハの春」

林忠行/1991年/岩波書店/A5

前に シュヴァンク・マイエル映画祭 で「スターリン主義の死」と「プラハからのものがたり」という作品を見た。この作品については赤塚若樹さんが「 戦闘的シュルレアリストの賭け 」(『スラヴ研究』45号)で面白い文章を書かれている。残念なことに、僕はこの作品を見たとき、チェコの歴史についてほとんど知識が無かった。

で、お勉強。しかもブックレットで(また?)。

これまではチェコだろうがユーゴだろうが「社会主義に染まった東欧の国の一つ」として十把一絡げに見てたけど、当然ながら国によってその距離感は違う。そしてチェコは、自分達の積極的な意思をもって共産主義政権を受け入れたらしい。

チェコスロバキアは名前の通り、チェコ人とスロバキア人の国で、チェコ人はスロバキア人の2倍。1946年当時、チェコでは共産党が第一党になったが、スロバキアでは得票率の60%以上を民主党が獲得していた。しかしチェコ側が押し切る形で共産党の一党独裁が成立し、スターリン主義が横たわった。というお勉強。

そんでもって…

シュヴァンクマイエルは積極的に社会主義を受け入れたチェコ人。スロバキア人じゃないんだね。「スターリン主義の死」の背景はやっぱし複雑なんだなぁ。

チェコで社会主義が崩壊した後、最初の大統領になったのはヴァーツラフ・ハヴェルという劇作家だった。チェコの芸術は世界中でも多くの人を魅了している理由がこんなところにも隠れているかもしれない(そういや、東京の都知事も作家だった)。

Posted by Syun Osawa at 23:39