2006年06月01日
アルジャジーラとはどういうテレビ局か
オルファ・ラムルム/訳:藤野邦夫/2005年/平凡社/四六
アルジャジーラについて知りたくて読んだ本。
ヒュー・マイルズ『アルジャジーラ 報道の戦争』(2005年/光文社)を読むか、こっちを読むか悩んだ末に、発行年月日の新しい方を選択。失敗したかも。「ザ・翻訳本」って感じの文章がなかなか面倒臭くてちょっと疲れた。
でも、読んだかいはあったと思う。アルジャジーラはイスラエルにも支局があるとか、そのレベルでいろいろ知ることができたし。サラッと読んだところによると、アルジャジーラを「対アメリカのプロパガンダメディア」「イスラム教の大衆化を先導するメディア」と捉えてよいほど問題は単純ではないらしい。
アルアラビアというアルジャジーラの影響力を弱めるため外国資本を投じてつくられたテレビ局が、結果的にアルジャジーラを追従してしまうなど、イスラム圏の国々の変化(女性の地位向上とか選挙とか)がアメリカの制御を超えたところで動いているらしいのだ。
これまでのイスラム教圏のメディアといえば、「動員用の報道機関」「体制支持の報道機関」というまさにプロパガンダのための御用メディアであった。そこからの脱却。つまり「さまざまな報道機関」として初めて機能したのがアルジャジーラなのだ。
本当かどうかは知りませんよ。もちろんどんなメディアだって、何かしらの影響や圧力を受ける。アルジャジーラもカタールの国営放送であり、カタールは親アメリカの小国である。僕が一番感心するのは、そのことをすべて自覚した上で、なおも攻めの姿勢を崩さないメディアたろうとしている彼らの心意気である。
(関連)戦争と芸術
Posted by Syun Osawa at 00:55