bemod

2006年06月11日

韓国 VS 日本 ― ショート・アニメーション初の競演

2006年5月13日―21日/space NEO

韓国 VS 日本韓国のショート・アニメーションの上映会って、最近多いんだろうか? ちょっと前にも多摩のほうで何かやってたし…。韓国アニメは好きなので、嬉しい傾向ですな。

今回は、Fプログラムを観賞。予想していた以上に素敵な作品が多かった。他のプログラムも見ればよかったよ…。

岐路

イム・ソンフン/2003年/5分

ゲームのオープニングみたいな3Dアニメ。リアル系を追い求めている3Dは、何となく応援したい感じ(今の気分的には)。戦争モノなので、好みは分かれるかな。市街地なんかの局地戦を描く際には、空間を上手く表現できるので3Dは有効なのかも。戦争モノのゲームが多いのも頷ける。このアニメの舞台は朝鮮戦争らしい。

全然関係ないけど、ネットで公開されているメタルギアソリッドのイメージ動画(長いヤツ)はかなり凄かった。

モン

クアク・キョンウン&キム・ミンギュ他/2004年/7分46秒

ドジな犬の話。韓国って儒教の国とかいう勝手な妄想があったから、こういう下品めなアニメを見ると新鮮な気分になる。テンポもあるし、ギャグも小気味いいし、こういう作品の根っこはどのあたりに影響があるんだろう? やっぱアメリカかなぁ。日本ではないような。

招魂

キム・ギナム&キム・ウンジュ他/2004年/14分

日本が韓国を植民地にしている時代の抵抗活動家と娼婦の悲恋を描いた作品。こういう作品は日本では作れない。当時の日本で抵抗活動家を描いたら、小林多喜二の『党生活者』になってしまうからだ。それにはちょっと違和感がある。

この作品に対しての一番の驚きは、空間の立ち上げ方。本当に下からニョキニョキと立ち上がってくる。演劇の舞台転換を進化させたような場面の変換の仕方に感心させられっぱなしだった。さらに楼閣なんかの立体のデザインもセンスよく、灯籠の光に照らされる女性達の様子なんかが、当時の薄暗い娼館の雰囲気をよく表現していると思う。

I Love Sky

イム・アロン/2003年/4分05秒

ディズニーとかドリームワークス直系のアニメって感じ。この手のコメディの原点って何だろう? 『トイストーリー』以前にも脈々と受け継ぐ何かがあって、それをやっぱし踏襲してるんだろうか。一番でかくお金を稼げそうな匂いはあるよなぁ。

ソンの祭日

イ・ソンヒ/2004年/8分50秒

彼氏のいない20代後半の女性アニメーターの日常を描いた作品。このあり得ない設定に大興奮してしまった、中年腐オタです。はい。韓国って行ったことないけど、日常がシンプルに描き出されているような感じがして、今回の上映の中で一番心に染み入った。30過ぎてニートやってる兄貴とか、やたら忙しそうなお母さん。無口なお父さん。ゲームばっかして、夢みたいな話ばかりしてる弟。

日本に伝わる「韓国」ってのは、常軌を逸したような嫌韓ネタか、これまた常軌を逸したような持ち上げ方の韓流ブームのどちらか。両方ともウンザリしてたところに、こういう普通の韓国があって、それがモロに日本のろくでもない日常(僕の日常でもある)とも繋がっていて、感銘があった。それをアニメーションで描いているところも。『 マリといた夏 』なんかもそうだったけど、韓国アニメのこういう側面は結構好き。

その日に…

チョ・スジン/2003年/5分36秒

鉛筆で描いたような根性の入った線が動くところは、背筋に電気が走った。一人でアニメを作ることについて、理論的なことは何とでも言える。そこを言うのは実に簡単。でも、実際に作ることができるのは、根性のある人だけ。根性、根性、根性。目まぐるしく展開する画面の隅々まで作者の思いが詰まっていて、そこが美しかったですよ僕には。

停止円

田端志津子/2005年/2分30秒

実写。実写なんだけど、不思議な実写。「ピ、ピ、ピ」と静止画が順番に変わっていくんだけど、中心にある円だけは画面の中央に存在し続ける。その円を持つ手が大きくなったり、小さくなったりと忙しい。その忙しさと中央の円のコントラストにグッときましたよ。シンプルに強い作品。

Posted by Syun Osawa at 02:00