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2006年06月22日

ナポレオンとヴェルサイユ展

2006年4月8日−6月18日/江戸博物館

ナポレオンとヴェルサイユ展戦争画とプロパガンダ絵画の絡みでいったら、ナポレオンは外せない。たぶん。

これがロマン主義ってヤツなんでしょうね。ナポレオンを英雄的に描いてあって、しかもやたらディティールにこだわりがある。ただ思っていたほどの写実性はなく、デッサンは普通に狂ってる。デフォルメされていると言ったほうが適当なのかな。

その代表格ともいえる画家がジャック=ルイ・ダヴィッド。フランスの新古典主義の画家で、この人の絵が一番怪しげな空気を漂わせていた。何というか、ウソ、大げさ、紛らわしいという意味で。解説を読むと服装のデザインなどもしていたらしく、「ベルばら」に出てくるような豪華絢爛な世界にも大きく影響を与えている人なのかも知らん。そして彼の絵が、少なくとも写実を超えて、後世に時代の空気感を伝えている絵であったことは間違いない。

今回は絵の中に登場するナポレオンの大きさに注目していた。前期は肖像画のような絵と俯瞰から見た写実性の高い戦争風景画がメインなのに対し、後期はナポレオンが何かをしているところをミドルレンジで描いている絵が多かったように思う。絵の中にナポレオンを象徴するようなエピソードを盛り込んでいるという意味では、後半の方が漫画的な手法。

日本の戦争画における天皇の描き方とどのように違うかという意味も含めて、このあたりのところはこまめに見ていくと面白いのかもしれない。

(関連)戦争と芸術

Posted by Syun Osawa at 00:08