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2006年09月02日

【沖方式】ストーリー創作塾

冲方丁/2006年/宝島社/四六

【沖方式】ストーリー創作塾淡々と学ぶ。

沖方さんの小説のネタ出しから執筆に至るまでの過程が、作品ごとに紹介されていた。主人公や世界観を考えるところとか、梗概(あらすじ)から詳細なプロットを書き、それを削ったり追加したりするという、結構軸になるところを公開していて勉強になるところが多かった。

以前、沖方丁さんが「小説アシスタント制度」という構想をネットで表明されたとき、何のこっちゃとの思いがあった。アシスタントと言っても背景などを描く漫画のアシスタントとは異なり、共著のイメージが強くなると感じたからだ。データマンとしてのアシスタントなのか、共同執筆者としてのアシスタントなのかは今もよくわからないが、彼の場合、本当に実践しているところが面白い。この本でもそのことについて触れている。

僕がこの本で一番感銘を受けたのはここ。

今、最も小説業界に必要なのは、千人の中堅作家と、一万人の新人と、百万人の同人作家です。

それなんて、岡田斗司夫さんの『 プチクリ 』(幻冬舎)あたりと通じるものがある。どんどん真似て、どんどん作品を作ろうってところが。僕も参加しているウェブアニメの潮流なんかも、核心部分はここにあるのだけど、これを曲解している人がわりと多いみたい。

で、曲解している人は、たいてい創作をしていなかったりする。このあたりは、村上春樹さんが『文藝春秋』(2006年4月号)で発表した「ある編集者の生と死―安原顯氏のこと」にも通じているように思う。…無理があるかな(内田樹さんのブログ とか参照)。僕の場合、この手のハウツー本を読むのは、ただ単純に創作術を学びたいという気持ちがあるから。もちろん、「学んでどうなるものでもない」とか「学ぶに足る才能が無い」などの判断はまた別の話。

最後の章に、編集者にこう言われたらどうする? みたいな編集者の評価に対する対処法が書かれていて、それがまさに『サルまん』(買ったはいいが、読んでない…)ちっくで、結構面白かった。こういうのだけで本を一冊作っても、意外に実用的で面白そうかなと思った。

Posted by Syun Osawa at 00:43