2006年10月18日
マンガの心
手塚治虫/1994年/光文社/四六
手塚治虫さんって思ったより多くの本を書いているんだねぇ。漫画ハウツー本もいくつか書いており、この本もその一つ。驚いたことに思想が岡田斗司夫さんの『 プチクリ 』(幻冬舎)だった。
僕はことあるごとに、プチクリ、プチクリと言ってるけれど、別に岡田さんの信者なわけでも何でもなく、とてもまっとうなことを改めてプチクリと言って何になるんだ? と思っているに過ぎない。この本で漫画の描き方を教えているが、別にプロを養成しようとしているわけではない。お母さんが子どものためにとか、同人即売会で売るためにといったことを視野に入れて書いている。そして、プロになるにはさらなる努力と才能が必要になると書いてある。この流れはまんま『プチクリ』である。だからプチクリ批判は変だと思うし、プチクリ本そのものの存在意義も僕にはよくわからない。
で、この本で学んだことがいくつかある。道具の話とかはスルーして、長編を書く前に短い漫画(4p、8p)を上手くまとめてみせよというくだり。4コマ漫画は長編の基礎というところまでいくと、衒学めいてくるので疑問も残るが。とにかく僕も4コマのカラー漫画を描いてみよう。
あと、長編漫画を描くにあたって、成功の成否をにぎる新鮮さを出す方法を以下のようにまとめている。
1. あまり他の漫画作品を見ないこと。
2. 深く考えすぎず、ただマイペースで描くこと。
3. 描いている途中で、人の意見を入れないこと。
ほかにも、こんなことが書いてあったな。
漫画を描くうえで、これだけは絶対に守らねばならぬことがある。
それは、基本的人権だ。
どんな痛烈な、どぎつい問題を漫画で訴えてもいいのだが、基本的人権だけは、断じて茶化してはならない。
この姿勢が大塚英志さんのいう「倫理」ということなのだろう。
Posted by Syun Osawa at 00:20