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2006年11月01日

石ノ森章太郎のマンガ家入門

石ノ森章太郎/1998年/秋田書店/文庫

マンガ家入門漫画の描き方を学ぶ。

手塚治虫さんの『 マンガの心 』に代表されるプチクリ系(雑だなぁw)のマンガ教本の流れがあるとするならば、こちらはプロクリ系。プロのマンガ家を目指すために書かれている。島本和彦さんは巻末の解説で、新人アシスタントが入ると必ずこの本を読ませていると書かれていた。

本の後半部分はマンガ家を目指す読者からのQ&Aで構成されており、その中にプチクリ系の漫画教本にも絡んだ面白い質問と答えがあった。石ノ森さんの答えの部分だけちょこっと引用。

“あなたの「マンガ家入門」は、マンガ家になりなさいというような書き方をしているけど、手塚先生や他の本では趣味として書くことをすすめている。いったい、どっちがいいんだ?”というご質問でしたね。
 お答えします。結論を先にいいましょう。
「趣味としてマンガを書いた方がよろしい、という他の先生方のご意見に、まったく賛成です。」

ではなぜこの本を書いたか? ここが素晴らしい。

ぼくが、マンガ家になりなさい――いや、なってくださいといっているのは――すぐれたマンガ家に誕生してもらいたいからなのです。

実はこの本は現役のマンガ家に対する意見も込められておりかなり深い。第3部総集編の「マンガ家きのう・きょう・あす」でマンガの歴史とタイプの異なる二人のマンガ家(金のために書くマンガ家と自分のために書くマンガ家)の歩みを織り交ぜながら書いており、「マンガ家とは何か?」を考えさせられる深い問題を提示している。

というわけで、マンガ教本には二つの流れがあることをこの本を読んで確認した。ただし、いずれの系譜もその根底に「マンガが好き!」という思いがあることは言うまでもない。

Posted by Syun Osawa at 00:04