2006年12月03日
12色物語
坂口尚/2002年/講談社/文庫
『 石の花 』全5巻(講談社)を読んで、すっかり坂口尚さんにハマってしまった。彼の作品にハマったのは、学生時代に定期購読していた雑誌『アフタヌーン』に連載されていた「あっかんべェ一休」を読んで以来2度目で、久しぶりに固め読みしようと彼の作品を数冊買った。その一つがこれ。
一つの作品を一つの色に見立て、12色の話で構成された短編集。面白いと思うものもあり、それなりだなと思うものもあり。確実なのは、どの作品も人間を見つめるまなざしが素晴らしく、坂口尚という人間にますますひきつけられたという事だ。
僕的ベストは冒頭の「朝凪」という作品。ホームレスに近い状態の老人と老犬が町で邪魔者扱いされながら人知れず死ぬ物語で、特に町の人が老人が道で死んでいるのを発見したとき、隣で死んでいた老犬が老人を数メートル引きずった後で息絶えた跡が残っていたところの描写にやられた。2、3ページ見開きで描かれた森の絵もすごい。
次は『VERSION』読むか。
Posted by Syun Osawa at 00:10