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2007年01月07日

戦後強制抑留絵画展

2006年11月11日−12月3日/平和記念展示資料館

戦後強制抑留絵画展新宿副都心にある住友ビルという超高層ビルで何故こんな不思議な展示会をやっているのかと思ったら、平和記念事業特別基金というのがあって、そこが平和記念展示資料館というのを開設していたからだった。シベリア抑留者については今なお未払い賃金の問題が残っている。そうした中で、こういう施設が作られており、それが誰のどういったお金によるものなのかが気になったが、不勉強のためわからなかった。

僕は 戦争と芸術 という不謹慎な気持ちのみで見に行った(いつものごとく)。大陸から日本へ引き上げてくる人達の困難だったり、シベリアに連行され強制労働を強いられた様子などを伝える展示だったので、戦争記録画とは趣が少し異なる感じ。パッとしないというと失礼だが、ロマン主義による感情の増幅を狙っているわけでもなく、かといって自然主義的リアリズムとも違う。安っぽいヒューマニズムも感じられないし、「何となくシベリア抑留の絵だな」くらいに受け止めた。描くときのモチベーションや気持ちの方向が戦争画とは異なるからかもしれない。

シベリアでの強制労働を描いた作品といえば香月泰男のシベリア・シリーズが有名だが、その当時の過酷な状況を描いている人は結構いるらしい(本もいくつか出版されている)。僕はそうした作品群が戦中に描かれた戦争記録画と地続きなのかどうかが気にかかっている。当然地続きであってほしいんだけど、戦後に当時の戦争を描いた画家がどれくらいいるのかってことを考えたら、両者の間には大きな溝があるようにも思える。

常設展の平和記念展示資料館では水木しげるさんやちばてつやさんのイラストも展示されていた。彼らは戦後に戦争漫画を描いている。その方向性は異なるが、漫画家はよく戦争を描いているなと思う。画家はどうだろうか、あまり描いてないのではないだろうか。

(関連)戦争と芸術

Posted by Syun Osawa at 23:52