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2007年04月22日

芸術と戦争 − 従軍作家・画家たちの戦中と戦後

もりたなるお/2007年/産経新聞社/四六

芸術と戦争火野葦平からはじまって、藤田嗣治、横山大観、吉川英治、森鴎外、林芙美子など戦中・戦後を経験した文化人たちの足跡を追っている。しかもそれを芸術と戦争というフィルターで捉えているのだから、これは読むほかないと判断した。

著者が作家のためか、すべて小説形式で書かれている。まぁ、これは仕方ない。こういう類の本は結構ある。ただ、あとがきで著者が産経新聞の編集が企画したことを告白していることからもわかるように、踏み込み方が少し足りないようにい感じた。僕が一番期待していたのは、芸術家が戦争をどのように捉え、芸術との間で格闘したかというところだったので、その部分がサラッと流れてしまっていたところが残念だった。

よいところもあった。

産経が出しているということもあってか、変質した平和主義一辺倒みたいな内容ではなかったのはよかった。桜井忠温『肉弾』など、知らない本もたくさん紹介されていたし、今後このテーマを勉強をしていくうえでの一つの手がかりを示してくれるような本であった。

(関連)戦争と芸術

Posted by Syun Osawa at 09:50