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2007年06月02日

リクルートのDNA ― 起業家精神とは何か

江副浩正/2007年/角川書店/日本

リクルートのDNA僕は江副さんに対して憧れがあった。一代で、しかもサービス業で一大帝国を築き上げたからだ。

リクルートは広告を記事にしてしまうという身も蓋もない戦略で出版業界に革命を起こした。戦時下のプロパガンダは自国の宣伝を目的としたが、現代のプロパガンダは相手を選ばない。広告主に対して最大の広告効果が得られるような戦略を練る。実にシンプルだ。そしてそれは『 ドキュメント戦争広告代理店 』にも通じている。

戦争と広告の話は広く研究がなされているし、電通を含め日本の動向を探ってみると面白いに違いない。また、出版業界で最王手にまでのぼりつめたリクルートが東京大学新聞の広告を出発点としており、学生企業家の延長戦上に築かれているところも興味深い。

そうしたプロパガンダ的な話やベンチャー的な話は興味深いが、彼が推し進めた広告の高度化という事態はどこかむなしい。そのため彼が構築したビジネスモデルは少しも好きになれないでいる。

Posted by Syun Osawa at 08:33