bemod

2007年07月21日

電通の正体

週刊金曜日編集部/2005年/金曜日/A5

電通の正体テレビ、新聞にとって広告費はかかせないものである。そして、それを取りこぼしなく供給してくれる存在が大手広告代理店だ。そのため、政府にとって都合の悪い報道はできても、広告代理店にとって都合の悪いことは報道できない。そのことが日本メディアの弱い部分と言われてきた。

電通は日本最王手の広告代理店である。

しかも、電通の子会社には視聴率調査会社のビデオリサーチがある。ビデオリサーチから広告主にとって都合の良い調査情報を引き出し、営業活動を行う。なかなか上手いビジネスだと思う。しかも電通は業界2位の博報堂と比べても群を抜いた存在であるため、広告主がより大きな広告効果を期待できる電通に依頼するのもうなずける。

ただし、電通がメディアに対して独占的な地位にあることについては留意しておく必要があるだろう。というのもアメリカなどの広告代理店は広告を引き受けるとき、一業種に対して一社の広告を引き受けるのが慣習らしいからだ。一方、電通は一業種の中で複数の企業から広告を引き受けている。国鉄が民営化する際、国鉄側と労働組合側の両方からの依頼を受けていたというのだから笑い話である。

笑い話でおさまるならよいが、こうした寡占状況がメディアの広報戦略の足腰を弱めているとしたら問題だろう。一業種で一社の広告を引き受けるアメリカでは、当然広告代理店同士が激しいバトルを繰り広げることになる。そこで培われたノウハウが、『 ドキュメント戦争広告代理店 』につながっているのだとしたら、世界的視野で見たときこの寡占状態は解体されるべきだと(今のところ)思う。

ところで、小泉首相人気を語るとき、野党陣営はきまって広告代理店が引き合いに出し、政治的プロパガンダに敗れたという。残念ながら、政治が広告代理店を活用しているのは今に始まったことではない。しかも、自民党だけがそれを行っているわけでもない。野党側にはこういう見当違いのぬるい解釈はしないでもらいたい。

Posted by Syun Osawa at 22:18