bemod

2007年09月20日

花喰幻燈機

三浦靖冬/2005年/ワニマガジン社/A5

花喰幻燈機おつきさまのかえりみち 』に続いて2冊目の三浦作品。著者の商業作品としては3冊目にあたるらしい。2冊目も購入済みであるが、描かれた時期は3冊の中で一番初期のものらしいので2冊目を飛ばしてこちらを先に読んだ。

おつきさまのかえりみち 』と比べると情緒感がちょっと薄く、逆にエロが増している印象。同書の中では「極東ニ夜ガ降ル」が一番好きだった。

「極東ニ夜ガ降ル」は島が舞台。島で淫売のうわさを立てられた母が死に、ただ一人残された娘。その娘と幼馴染だった男が島に帰ってきた。男は娘が島一番の名士でもある学校長の情婦になっていることを知る。そして実は生前、娘の母も学校長の情婦であったことを知る。母娘、学校長、男の思いの矛先が揺れ動く。生きていくことの難しさ、気持の割り切れなさ、どれもこれも不安定でどんより重い。

それにしても心に残る筆使いやね。コマの空白を押し消すように埋め尽くされた黒。緻密で力のある画面はとても重厚で息苦しい。エロ漫画でここまでグサッときたのは大暮維人『5』以来かな? って言っても、エロ漫画はほとんど読まないのだけど…。

Posted by Syun Osawa at 01:09